テクノロジー

ドップラー効果を用いた流速測定

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パイプを通過するガスには、通常他の物質微粒子が含まれています。超音波をパイプの壁を通して送ると、流れる微粒子から反射されたエコーは少しずれた周波数で戻ってきます。この測定から微粒子の運動速度を計算することができます。

この手法により、非常に狭いパイプ内の流れや、超音速の流れを測定することができます。例えば、燃焼エンジン内の流れを測定し、燃焼効率を向上させる研究などに使用されています。

GPSと衛星航法:ドップラー効果のおかげで可能になった

GPSの名で良く知られている全地球測位システムは、複数の人工衛星からの電波信号を受信して、受信機の現在位置と高度を計算する測位技術で、1970年代に開発されました。GPS衛星からの送信信号に刻まれた送信時刻と受信時刻の差から、受信機とGPS衛星の距離を計算できます。多数のGPS衛星との距離の測定から地表上での受信機の位置を正確に求めることができます。受信機の移動速度に応じて受信周波数がずれることから、ドップラー効果により受信機の運動速度の計算も可能となります。

つまり、GPSデバイスや携帯電話がオンになっている限り、受信デバイスの位置を精確に特定することができます。これは、特に警察や行方不明者の捜索に大きな助けになることがあります。

ドップラー効果を利用したレーダーとソナー

レーダー(電波探知機)の発明は、ハインリッヒ・ヘルツが1886年に、金属が電磁波を反射することを発見したことに端を発しました。だが、レーダーが最大40kmの遠方から攻撃機、戦車、船舶を検出するのに十分な性能を持つまでに実用化されたのは1930年代になってからでした。道路交通レーダー(速度違反取締レーダー)は1956年に初めて実用化されました。

道路交通レーダーは送信した電磁波が物体で反射されて戻ってくるのを検出します。検出した反射波の波長が圧縮されているか伸長しているか圧縮されているかを判別すると、反射物体が近づいているのか遠ざかっているのかを判定することができ、その運動速度を計算することができます。道路交通レーダーは、スピード違反を捕まえるだけでなく、道路工事現場や交差点など、交通渋滞が起きやすい場所での、車の流れを管理するのにも利用されています。道路交通レーダーで収集された交通情報は中央コンピュータに送られ、車の流れを最もスムーズにする規制速度を決定し、これに基づいて交通信号のタイミングを調整したり、交通標識板に情報を表示したりします。

ドップラー効果のもう一つの応用であるソナー(音響探知機)は、水中で音波を発生させます。水中での音速は空気中の四倍に相当する秒速約1480 mに達します。この音波が物体から反射されてくるのを、感知してソナーは、物体までの距離と動きを測定することができます。

イルカは、その体に備わった同様の音響探査装置を使って餌を巧みに取ることができます。コウモリと同じように、イルカは獲物の体で反射される音を聴いて、獲物の位置を知ることができるのです。

天気予報に使われるドップラー効果

気象レーダーがなければ、つまりドップラー効果がなければ、天気を予測することは不可能です。雲には、電磁波を反射する水滴や氷粒が含まれています。気象レーダーは、雲からの反射波を測定して、その位置だけでなく、その速度と移動方向を決定することができます。このデータを分析することで、風が突然方向を変えない限り、いつどこで雨が降るか、どのくらいの雨量となるのかを予測することができるようになりました。

ドップラー効果はまた、航空機搭載の地表探査レーダーにも使われています。地表探査レーダーから発信されたパルスの反射波の解析から、例えば、70年前にグリーンランドに墜落し深さ75mの氷の中に埋もれていた飛行機を発見したり、パタゴニアの恐竜やシベリアのマンモスの発見などにも貢献してきました。

ドップラー効果を使って地球を測定する。

測地学(地勢測量)の目的の1つは、地表に等高線を刻み、平野や山岳地帯を異なる色で示して地図に立体的な情報をもたらすことにあります。地球全体の表面の同様に詳細かつ正確な測定は、1960年代から「ドップラー衛星」群、すなわち1996年以降のTRANSIT衛星、1990年以降のDORIS衛星システムによって行われてきました。これらの衛星は地球を経度大円に沿って周回し、南北極を通過してレーダーと同様の方法で地球形状をスキャンします。これらの衛星は「静止した」地球に比べて非常に速く周回するので、ここでもドップラー原理が重要になります。

DORIS衛星測位システムは、多数の衛星の軌道の組み合わせで、自転する地球の全表面を一種の三次元格子で覆いつくして探査しますので、何も見逃すことはありません。